店舗インタビュー

全国の相談薬局・薬店で健康相談を行っています

「漢方専門 クリス調剤薬局」店主 薬剤師 金山和英
No.8

以前、金山さんがカウンセリングについて「必ず、全力でお話を伺います」とおっしゃっていたのが印象的でした。

お話を伺うこと、寄り添うことが原点だとつねに思っています。その方が、なぜその病気になってらっしゃるのか考えると、取り巻く環境が影響していることが多いです。胸の奥につらさを抱えたまま外に出せず、そのつらさが病気の原因になっている方も多いです。ご本人も気づいていないこともあります。症状の原因を探るために、いかにお話していただくかが大切になります。最初はお話が弾まないこともあります。お客様も、私にどこまで話していいものかと不安なのだと思います。ですから初回のカウンセリングは予約の枠を2時間とっています。「待つ」時間も必要だからです。

話が弾まないときはどうするのですか?

私が漢方相談を始めて間もない頃、ダイエットのご相談で60代の女性が来店されました。私はお客様の声の調子、ドアの開け方、車の止め方など、あらゆることがその方の状態を知る大事な手がかりになると考えています。その方は、無表情で声の張りもなく、つらそうに見えました。座っていただきお話を始めましたが、表情は変わらないまま。1時間ほど私から色々と問いかけても、返ってくる言葉は「ええ」「はい」だけでした。それでも痩せたいという意思は示してくださり、次回来店の予約を入れてお帰りになりました。

10日ほど経ち、2度目に来店されたときも表情は変わりませんでした。順調に2~3㎏減っていましたので、「すごく痩せていますよ」とお声がけしましたが、笑顔は出ませんでした。どう接するべきか迷いながらも、ダイエットが順調だということを、わざとらしくならないように、でもしっかりとお伝えしました。

そして3度目にご来店の日。自動ドアが開いたとき、驚きました。「こんにちは!」と明るい声で入ってこられたのです。体重測定をすると、また数キロ減っていました。すごいですねというと、「先生のおかげでここまで来られました」と言ってくださいました。そこから、実は前回までは精神的に落ち込んで鬱状態だったこと、職場の人間関係に悩んで自信をなくしていたことを話してくださいました。痩せるという結果を出せたことで自信を持てた、仕事もやめようかと悩んでいたけれど頑張って続けますと笑顔を見せてくださいました。

そのとき、「すごい。人って変われるんだ。」と思うと同時に、「そんなにつらい状態でよく来てくださったな」とも思いました。また、「この出来事に私は試されたのかもしれない」とも感じました。ある先生に言われたことがあったのです。「そのときそのときの自分に合ったお客様が来てくださるから、準備を怠らないように」と。このお客様は、駆け出しの自分に寄り添うとはどういうことか学ばせてくれました。

いまも様々なお客様と向き合う中で、「いま自分は試されている」と感じる瞬間があります。常に準備していなければと感じます。準備していたら、そのときの自分に合った試練が訪れ、より成長できる。そう信じて日々を積み重ねています。

漢エビデンスの研究に参加されているのも、その「準備すること」の一環ですか?

そうですね。全国の実力ある先生方が、症例や研究結果を惜しげもなく共有してくれます。こんな組織はなかなかないと思います。1人でも多くの方の役に立つために、漢エビデンスを生かしたいという想いでつながっているんです。

私自身は、漢エビデンスと出会ったことで重い疾患に向き合う覚悟も強くなりました。生死に関わる相談をいただく中で、何をもって貢献できたと言えるのかと悩むこともあります。力が及ばず、ご遺族の方を前に申し訳ない気持ちでいっぱいになることもあります。それでも「ここへ来てよかったです。ありがとうございました」と言っていただけたときは救われます。ありがとうという言葉がこれほど身に染みるときはありません。「ここへ来てよかった」と思っていただくために、私は何をするのか。

正解はないのかもしれません。ただ、日頃から決めていることがあります。「すべてのお客様を家族だと思って接する」ということです。家族なら遠慮なく全力で向き合えます。同時にお客様からも遠慮なく頼っていただきたいと思っています。体調が悪いと気持ちも落ち込みます。何かあったとき止まってしまわず前に進んでいただくために、休日でも営業時間外でも気軽にご相談くださいと連絡先をお伝えしています。

「1人でも多くの方によくなってもらうこと」を第一に、寄り添うことを原点として明日からも日々重ねてまいります。

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