漢エビデンスを伝える人達

全国の相談薬局・薬店で漢エビデンスを実践しています

「練馬漢方堂」 店主 薬剤師 上田晃平
No.4

徳島から東京に移転されて2年が経ちますね。
環境が変わると、相談に来られる方の悩みも違うものですか?

環境はまったく違いますよね。東京は圧倒的に情報量が多いです。歩くだけで目や耳からたくさんの情報が入ってきます。医療機関や店も充実し、選択肢が豊富です。
しかし、お客様の悩みの根底は同じだと感じています。症状の重さなどの違いはありますが、当店に相談に来られる方は、みなさん共通して「色々試したけど良くならない」と言います。
選択肢がこれほど充実している東京でも、みなさん解決策を見つけられずにいるのです。その中で漢方薬店として何ができるのかを模索する毎日です。

お客様は何を求めて相談に来られるのだと思いますか?

ひと言でいえば「希望」だと思います。
病気になったとき、初めから漢方を試そうという方はほとんどいません。当店に来られるまで、みなさん本当に色々試されています。それでもよくならない。病院で「原因がわからないから何もできない」「お歳だからしょうがない」などと言われてしまうこともあります。薬を飲んでも良くならず、一生このままでは?という不安を抱えている方もいます。それでも何かできることはないか?と探しているのだと思います。

多くのお客様が「だめ元で」という言葉を使われます。でも、それは「だめでもいい」という意味ではなく、むしろ期待してくださっているからこそ出る言葉であると私は受け止めています。たくさんの方法を試してダメだった方ほど、「だめ元」という言葉を使われる気がします。いままで何をしてもだめだった。でも今度こそなんとかしたい、という想いです。
私はそれにどう応えるのか。
試行錯誤の日々ですが、絶対に心がけているのは真正面に立ってしっかり向き合うこと、現実を見ること。そして、来てくれた方が「希望が持てた、明日が楽しみになった」と言ってくれることが大事だと思っています。

治すことが難しい病気もあると思います。その場合は、どのように向き合うのですか?

まずは完治が目的ではないことをお話します。漢方にできること、できないことをきちんとお伝えします。そのうえで、「何ができるかを一緒に探っていきましょう」と提案します。
たとえば、病院で、もう治すことはできないと告げられた方が相談に来られました。ショックと不安で相当落ち込まれていました。
私はその方の生活習慣をじっくり聞き、補うべきものは何かを考えました。ストレスや疲労をとるもの、血流をよくするもの、代謝を上げるものなどを提案し、食事指導もしました。それらを試し、変わらなければ別のものを試す、を繰り返しました。
そのうち、病院での治療の副作用が軽減され、体調が良好になっていきました。病気自体が治ったわけではありませんが、「こんなに元気だったら病気は気にならない。今まで、落ち込んだ気持ちをどうにかしようと色々試しけど前向きになれなかった。体調が良くなったら自然と気持ちが明るくなった。身体を動かしたくなり、やりたいことが増えた!」とおっしゃっていただけました。正直、治療が良かったのか漢方が良かったのかはわかりません。ただ、ご本人が諦めずに頑張れたこと、気持ちが前向きになったことだけは紛れもない事実です。希望が持てると人は変わります。

希望を持てることが何よりも大事なんですね。

そうですね。言葉にすると簡単ですが、実際に病で悩んでいる方にとって、希望を持つというのは大変なことだと思います。
私は20代の頃に母をがんで亡くしました。母は薬剤師で医療の知識もある人でしたが、あるときから病院での治療をあきらめ、ほかの民間療法なども探し始めました。それがなぜだったのか、本人から直接聞いたわけではありませんが、やはり「希望」を求めていたのだと思います。その姿を間近で見ていたから、私は病院以外の受け皿、希望を提供できる場所を作っていこうと決心したのです。
そして老舗の漢方薬局で修業し、猛勉強して漢方の知識を身に着けました。

漢方には大きく2つの役割があると思います。ひとつは、西洋医学でだめだった病気をよくする働き。
もうひとつは、西洋医学では足りない部分を補い、体の底上げをする働きです。
西洋医学と東洋医学は相反するものではなく、足りない部分を補い合うものである。そのような考えを追及する中で、「漢エビデンス」の理論と出会ったのです。

「漢エビデンス」と出会ってから、変化はありましたか?

お客様に示せる「可能性」が広がったと思います。
漢方には2000年の経験則がありますが、科学的根拠はありません。漢方を西洋医学のエビデンスで解き明かすというのは、「よくわからないことを、はっきりさせること」だと思っています。
「漢エビデンス」と出会い、以前より自信をもって道を示せるようになりました。

漢方に「気を巡らせる」という言葉があります。私は、気をめぐらせる第一歩は「心を整理する」ことだと考えています。多くの方が、なかなか治らない病を抱え、鬱々とした気持ちで来店されます。心の整理がつけられず、何をしたらよいか見えなくなっている状態です。そういう方たちに、よくなる可能性や、どれくらい頑張ったらいいかという期間をしっかりお伝えします。最初に何を試すのか、もしそれがだめだったら次にどうするか。進んでいく道を明確にお伝えします。
そのように道を示すと、多くの方が安心した顔をしてくださいます。道が見えると、人は行動を起こせるようになります。行動できるようになると、気持ちも前向きになり、漢方でいう「気が巡っている」状態になっていきます。
多くの方は、病気になったことよりも、希望が持てないことがつらいのだと思います。ひとりでも多くの方に、「よい道」を示し、希望を持って帰って欲しいと願っています。

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